境界は「現地で示せるか」が出発点
土地の売買では、売主が買主に対して、売る土地の境界を現地で示すことが基本になります。境界を示すものが、地面に入っている境界標(コンクリート杭・金属プレート・鋲など)です。
境界標がそろっていて、隣地の所有者とも異論がなければ、そのまま引き渡せることが多いでしょう。反対に、境界標がなくなっている、位置があいまい、隣地との間で意見が食い違っている、といった場合は、契約の前に「どうするか」を決めておく必要があります。
境界標がないときの代表的な進め方
- 売主が引渡しまでに境界標を設置して示す:測量士・土地家屋調査士に依頼して、境界標を入れ直します。費用は売主が負担するのが一般的です
- 境界を確定する測量(確定測量)を行う:隣地の所有者などの立会いを得て境界を確認し、図面にします。道路との境(官民境界)が含まれることもあります
- 境界を示さないまま、現況で売買する:買主が納得したうえで、境界の明示を求めない取り決めにする場合があります。買主にとっては、あとで境界を巡るやり取りが起きるリスクを引き受けることになります
越境とは
越境とは、塀・建物の一部・屋根・配管・樹木の枝や根などが、境界線を越えて隣の土地に出ている(または隣から入ってきている)状態です。売る土地の側から出ている場合と、隣地から入ってきている場合の両方があります。
- 解消してから引き渡す:売主が引渡しまでに撤去・修理などをして解消する
- 覚書を交わして引き継ぐ:隣地の所有者との間で「いまの状態を認める」「将来の建替え時に解消する」といった内容の覚書を取り交わし、買主がその内容を引き継ぐ
- そのままの状態で引き継ぐ:越境があること自体を買主が確認し、了承したうえで売買する
どの方法でも大切なのは、越境の事実と取り決めを契約書の特約と重要事項説明書の両方で、買主に分かるように書くことです。特約では「誰が、いつまでに、どうするか」を、重要事項説明書では「越境の状況はこうなっている」という事実を、それぞれ書きます。
樹木の枝や根について
隣地から枝が伸びてきている場合の扱いは、民法233条に定められています。2023年4月に施行された民法の改正で、一定の条件のもとでは、枝を自分で切り取れる場合が整理されました。ただし、実際の対応は状況によって異なります。売買の場面では、引渡しの前に売主側で整理しておくか、買主が現況を確認して了承するかを、あらかじめ決めておくのが安心です。
「特約・重説 下書き」での使い方
ツールの「境界・越境」の質問では、境界標の有無、越境の方向(売る土地から出ている/隣から入っている)、解消の方法を選ぶだけで、特約と重要事項説明書の備考の下書きが組み立てられます。出てきた文は、必ず現地の状況と照らし合わせて、担当の宅地建物取引士が確かめてください。